【飲食業界ニュース2021年10月版】飲食店経営「内部留保金」を蓄えておく、ということ

公開日: 2021年12月14日

こちらは2021年10月弊社クライアント様へお届けした

【ティーアップ通信】の一部抜粋したものです。

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暦の上では秋なのに、まだまだ暑い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか?

コロナの新規感染者数が東京都は

100人を切り、

全国でも1000人を下回っています。

人流は以前と変わらず医療体制も

あまり改善されないままですが

新規感染者数が激減していますね。

以前と変わったのはワクチン接種率が向上したことと新規感染者数が激減したこと。

この因果関係はわかりませんが事実です。

 

テレビでは学校が始まったら児童たちを介して

感染爆発すると言っていた専門家もいたようですが外れて良かったです。

今年の正月3が日のテレビ視聴率は過去10年で最高だったそうです。

この事を考えれば、

マスコミは何故感染爆発と不安なニュースばかりを流し続けるのか?

容易に理解が出来ます。

とはいえ日本はマスコミに流されてしまう人達が多数派なので

完全回復はまだまだのようですね。

 

【ウーバーイーツ外国人留学生の新規登録停止】

ウーバーイーツジャパンは

外国人留学生などの新規配達員登録を停止しました

ウーバーは今年の6月に不法就労ほう助の疑いで幹部が書類送検されていました。

この事件を受けて

ウーバージャパンではウーバーの不正利用防止にも取り組んでいるようです。

対象となるのは外国人留学生などで「留学」や「文化活動」と言う名目で

在留資格が与えられている特定活動の外国人です。

これらの在留資格では週に28時間しか労働が出来ません。

コロナ禍によって宅配の需要が激増し配達員が不足してきました。

これらの配達員不足を外国人が埋めていたのは紛れもない事実です。

しかしこれらの外国人の新規登録を停止したことにより

特定の地域では慢性的な配達員不足が発生すると思われます。

特に雨の日など天候が悪い日は配達員の確保が難しい時間帯が発生してくる可能性がありますので

ウーバーを活用している店舗様は御注意ください。

 

【ふるさと納税過去最高】

2020年度のふるさと納税による寄付額が6724億円となり

前年度から37.9%も伸びて過去最高となりました。

件数は3488万件となっており

特に医療従事者に対しての寄付が増えたということです。

ふるさと納税などを活用しますと

来期の確定申告にともなう住民税が一定額控除されますので

個人事業主及び法人の皆様は活用されると恩恵が受けられると思います。

私の場合は返礼品を缶ビールにすることが多いです。

どうせどこかで買うのであれば

ふるさと納税によって返礼品としてもらう方が得じゃないかな?と思っています。

いくらまで寄付して良いのか分からないという方は

ふるさと納税のサイトにて試算が出来るようになっていて方法は簡単ですので是非、

試してみてください。

 

【松屋「牛めし」値上げ】

松屋フーズは9月28日から「牛めし 並」を320円から380円に値上げしたと発表しました。この値上げ率は約20%なので大幅な値上げと言えます。

この原因としては先月号にも記載をしましたがUSの牛バラ肉の値上げです。

牛丼チェーンの事はあまり関係ないと思うかもしれませんが

松屋規模の仕入れ額であっても原価高騰が吸収できないというのは

私達個人店で言えば死活問題です。

 

逆の見方をすれば今までファストフードなどのチェーン店は

価格が安すぎたのかもしれません。

 

ちなみに現在、

マクドナルドのビックマックは390円で販売されています。

アメリカでのビックマック販売価格は621円、

イギリスは522円、

シンガポールは474円、

韓国は440円となっており為

替や他の問題もありますが日本よりも高値で販売されています。

 

アジアで言えば韓国、シンガポールは日本より高いという結果でしたが

中国でのビックマックの販売価格は380円です。

10円しか変わりません。

中国と言えば物価も安く世界の工場と言われて

以前は衣料や生活用品などの生産拠点となっていました。

 

しかし今では大卒の初任給が日本より高い中国企業が沢山出てきたので

日本の優秀な技術者や新卒生などが中国で働くというケースも増えてきました。

 

サービスも良くて安全で値段なりに美味しい料理が

300円台で食べられるという事が常識になってしまっている事が

異常なことなのだと考え私達の認識を変えていく必要があるのかもしれません。

 

【給湯器、コールドテーブル、トイレ便座などが納期未定】

皆様の毎日の店舗運営に必ず必要な

給湯器、コールドテーブル、トイレの便座などが

ベトナムのロックダウンにより

工場が稼働できず生産に大きな遅れが出ています。

 

先日、弊社クライアント様より店舗リニューアルのご用命を頂いたのですが

コールドテーブルが入ってこないと言うことで

10月1日発注時点、

納期が11月初旬だという事で店内リニューアル工事が

10月24日までの時短営業期間中に出来ないという事が判明しました。

 

業者に確認をしたところ

給湯器などは納期が未定ということで

商品の確保が難しい状況になっているとのことです。

皆様におかれましてはリニューアルや機器の故障の場合、

交換などが難しいようですので併せて御注意ください。

 

【協力金の支払いに関して】

最近、

一番多く質問を頂くのが今年の時短による協力金の支給で、

「来期の納税額が、かなり多くなってしまうのでは?」

と不安に思っている方が多いようです。

 

もちろん協力金は営業時間を短縮して都や国の要請に従ったのですから

補償してもらうのは当然なのですが

店の規模によっては通常営業の時の利益よりも、

かなり多くなってしまっているという点が皆様を悩ませ混乱させています。

 

協力金や補助金は

酒屋やコンサートなどのイベント事業者、商業施設などにも給付されているのですが

店舗数や金額は圧倒的に飲食店に対するものが金額としては多くなっています。

 

以前からお伝えしておりますように、

この協力金の仕訳は雑収入となり

益金として計上することが必要です。

 

日額40,000円が給付された場合30日だと

120万円給付されることになります。

 

飲食店の場合、

利益率は大手飲食企業の場合は約10%~15%前後、

個人店の場合は約20%~25%前後くらいが平均だと思います。

 

法人、個人によって差があるのと

オーナーの所得をどこに計上するかによって計算は変わってきますが

協力金120万円と同様の利益を出すためには

月の売上で約500万円~600万円の売上が必要という事になります。

 

これを店舗や売上の大小を関係なく

一律に給付しているのですから

飲食関連事業の肉、魚、酒などの卸業の方々からは

羨ましいなあと言われて当然かもしれません。

 

前述しましたが

協力金は利益として計上しますので

来年の確定申告では大きな金額を納税することになる事業主が増えると思います。

国も給付が多すぎて利益が出た店舗からは

合法的に税金として徴収しようと考えているでしょう。

 

これらを踏まえて多くの方から

「有効な節税方法はありませんか?」

と聞かれるのですが、

節税も大切なのかもしれませんが、

それよりもこういった

利益が出た年度に内部留保金」を蓄えておく

という事が飲食店経営としては大切です。

 

改めて確認しますが

「内部留保」とは字のごとく社内に資金を備蓄しておくことです。

 

現金を増やすという意味では借入金によって社内の現金は増やせますが

借入金は結局は返済しなければならない資金です。

本来の内部留保金は事業で得た収益や利益から積んでいきます。

毎年、毎年少しずつ内部留保金を積んでいくことで

段々と会社の財務体質は強くなっていざと言う時の企業防衛力が強くなっていきます。

 

ここで大切な事は内部留保金と言うのは

事業で得た利益を蓄えるという事です。

日本の税制は非常に厳しく出来ていますので

合法的に内部留保を増やすためには

利益を出して納税した後の資金で蓄える

しか方法はありません。

 

もちろん合法的な節税は大切ですが、

利益を出してキチンと納税をすることで金融機関から評価されて、

いつでも低利で借り入れが出来る状態を作っておく事の方が

会社経営に於いて非常に大切な事だと私は考えています。

 

以前も書かせて頂きましたが

「税金払うのが嫌だから、わざと赤字にしてるんだ」

と言っている人をよく目にしますが高収益企業や銀行から見たら

「わざと赤字に出来るくらいの利益なんだな」と思っていますし、

「俺の会社は利益が少ないぜ!」と言っている事と同じなので

この機会に御自身の店舗の財務体質を見直して

強い財務体質づくりを検討してみる事をお勧めいたします

 

節税を検討されている方の中で

来期以降に新規出店を予定している方や、

事業拡張の予定があるという場合は

節税による現金比率の低下には十分注意してください。

 

理由は

現金比率の低下により万が一の場合の防衛力は低下しますし、

今期協力金によって収益が上がり報酬が増えたと思いますが、

仮に来期以降が売上不調となった場合は今期の報酬によって

増額計算された来期以降の住民税や国保、

社保の支払いなどが皆様の飲食店経営に於けるキャッシュフローを

非常に厳しくしてしまいます。

来年以降の厳しい時代を乗り切る為には

節税も大切ですが万が

一の時に備えて現金残高を高くしておくことがとても重要です

 

これらを頭に入れて待ちに待った通常営業で楽しみながら頑張って行きましょう!