【飲食業界ニュース2021年09月版】食材原価の高騰に注意!/大手チェーンの小箱出店が私達に与える影響とは?

公開日: 2021年11月16日

こちらは2021年9月弊社クライアント様へお届けした

【ティーアップ通信】の一部抜粋したものです。

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残暑厳しい中、皆様いかがお過ごしでしょうか?

昨日、突然ニュースが飛び込んできました。

「菅自民党総裁、次期総裁選出馬せず」このニュースはびっくりしました。

私は特別な政治思想はありませんが

菅政権は短期間に総裁選出馬時の公約はかなり守った政権ではなかったかな?と思ったのですが。

・携帯電話料金の値下げ

・後期高齢者医療費負担を1割から2割へ

・デジタル庁創設・・・などなど

これらは全て関連する業界団体が非常に強いので相当の政治手腕が無いと実現するのは難しい公約ばかりです。

これをコロナ禍でデルタ株が猛威を振るい感染者数増加の中、

東京オリンピック開催の可否やアフガン問題など次々と難しい判断を迫られる中で公約を実行するのは非常に大変な事だと思います。

でも毎日、何をやってもマスコミから叩かれていました。

もちろんコロナ対策における医療体制の構築など遅れがありますし緊急事態宣言の度重なる延長など言いたいことは沢山あるのですが、

そもそも政権与党である多数の自民党の国会議員を選挙で選んだのは私達ですから自分の意思は選挙にて民意を反映させるしかありません。

しかし本来叩かれるべきは自分達の支持率を上げられない野党なのかもしれませんね。

とにもかくにもコロナに感染しないように夏を過ぎても予防策には万全を尽くしていきましょう!

 

業界ニュース

さて今月も業界ニュースをピックアップしていきます

【サイゼリヤ小型店出店を加速】

サイゼリヤが小型店を住宅立地に絞って出店していくと発表しました。

小型店といっても40坪前後です。今までは100坪から200坪くらいの大型物件で出店を行ってきました。

しかしテレワークや外食の需要悪化により採算が取りやすい小型店舗に出店の比重を移していくという事です。

そして全店でWi-Fiを導入しデジタル化を進めると発表されました。

この強気の戦略の裏には収支の良化があります。昨年の8月は34億円の赤字であったのですが、

今期は10億円の黒字予想と発表しています。

堀埜社長が今年初めに西村経産相の「ランチでも感染リスクがある」と発言したことにたいして「ふざけんなよ」と言ったのは記憶に新しいところですが、

価格改定やデジタル化、カード決済の導入、労働時間の改善など取り組みを進め、ここまで復活しました。

主力商品のミラノ風ドリアを税込み300円などにして1円単位のお釣りが出ないようにして会計時間を30%減らすなど改革はいつも斬新です。

見た目はファミレスでも取組みは業界の最先端をいく同社の動きに今後も注目したいところです。

 

大手チェーンの小箱出店が私達与える影響

サイゼリヤの小箱出店に関してまずは板橋区や練馬区を狙っていくようですが、

こういった大手チェーンが住宅立地で中型の物件を取得してしまうと

飲食店の物件取得競争が激化してしまいます。

 

30坪~40くらいの物件と言うのは飲食店にとって一番人気の大きさですが

大家としては信用力のある大手に物件を貸したいと思うのは当然です。

そうなると中型規模の物件で勝負していた中堅の飲食企業が新規物件を取得し辛くなるので

出店する物件の大きさを少し小さくして物件探しを行うようになります。

結果として個人店や初出店者にとって一番希望の多い15坪から20坪の物件に対して

更に人気が高まり物件情報そのものが少なくなってしまうという訳です。

 

そして既に1店舗を経営している店主などはこのように考えています。

「飲食業界が不振なのだから居抜き物件が沢山出回るだろう。

だったら、その物件を取得して安価で出店しよう」と思うのです。

個人店や小規模飲食企業は協力金や助成金などによって

現金保有率が上昇しており出店意欲が増しています。

これらの要素によって空き物件が中々出てこないのです。

先日、非常に条件の良い物件情報が出てきたのですが

令和4年2月末撤退予定とのことで、

明らかに協力金をもらい続けて協力金が無くなったら退転するという考えが見え見えです。

反面、50坪以上の都心やオフィス街の物件は大手居酒屋チェーンなどの撤退が加速しており空き物件が目立ち始めているのが実情です。

これが今、都内の店舗物件の市場で起きている事なので出店を希望される方は期間に余裕を持った出店計画を立てておかないと

中々物件が見つからず時間だけが経過するという事態に陥ってしまいますので御注意ください。

 

食材原価の高騰に注意

デルタ株の猛威によって新たな感染リスクが世界中で騒がれていますが、

木材や鉄などの資材が高騰しており住宅や建築関連業者が頭を抱えています。

私達外食産業に関しては肉や野菜の価格が高騰しています。

野菜は今夏の天候不順や台風の影響によるものが大きいのですが牛肉や豚肉などは中国やアメリカの外食解禁により一気に需要が増えたことも一つの原因となっています。

牛肉に関しては価格を決める先物市場においてアメリカの生牛の価格は年初からずっと上昇を続けてきました。

6月のアメリカ外食解禁によって需要が増え更に上昇し8月に高値をつけています。

これに加えて価格の優等生であった鶏肉の価格も上昇しており特にタイ産の鶏肉は切り身で卸価格キロ380円前後(7月末時点)になっており今年の1月に比べるとキロ100円前後上昇しています。

この鶏肉の価格上昇は需要回復以外の原因としてタイなどのアジア諸国でデルタ株が広がり始め工場内でクラスターが発生し生産が出来ず需給のバランスが崩れ価格が上昇しています。

これらにつられてタイ産鶏肉を使ってきたコンビニやから揚げチェーンなどもブラジル産鶏肉にシフトする動きがありブラジル産鶏肉の価格も上昇し始めておりますので注意が必要です。

 

テイクアウトは辛い料理に人気が集中

皆様は辛い料理はお好きですか?

私は好きなんですが食べると沢山の汗が出るので外食ではあまり食べる事がありませんでした。

いま、コロナ禍でテイクアウトやデリバリーの料理で激辛メニューのオーダーが増えているようです。

激辛料理をテイクアウトやデリバリーで食べると言う人が昨年は13.9%だった

のに対し今年は21.9%と増加しています。

ぐるなび社が調べた不特定の都内の地域で1000店舗を選んだ場合、

激辛料理を提供している店舗が何店舗あるのか?

と言うデータを見ると21年5月のデータでは70.9店となっており

昨年の5月とくらべると2割ほど店舗数が増えています。

また、過去3年のデータを見ると激辛メニューを提供する店は3倍に増えているという結果となりました。

それでは具体的にどんなメニューが人気なのか。

20代~50代の男女にテイクアウトやデリバリーで食べてみたい激辛料理は何ですか?

と言うアンケートの結果がこちらです。

1位 カレー

2位 麻婆豆腐

3位 スパイシー味のから揚げ

4位 担々麺

5位エビチリ

6位 キムチ鍋

7位激辛ラーメン

8位ビビン麺

9位スンドゥブチゲ

10位 タコス

このデータの背景にはコロナ禍の影響で昨年はスーパーの総菜売上が一昨年に比べて上昇しました。

理由としては、もちろん外食を控えて家で食べると言う人が増えたからです。

しかし昨年から今年にかけてはスーパーなどの総菜を利用すると言う人は増加しておらず、

飲食店のメニューやフードをテイクアウトもしくはデリバリーすると言う人が増えています。

つまりスーパーなどの惣菜を買って家で食べるという事に対して飽きてしまっている人達が

近所もしくは帰りがけの飲食店でテイクアウトをして家で食べる方が美味しいし満足度が高いという結果が出ています。

それに、折角テイクアウトやデリバリーするのであれば飲食店としての看板メニューやこだわりのメニュー、

そして刺激的なメニューなどを注文したいという心理から激辛メニューが人気となっているようです。

確かに、カレーをテイクアウトするとすれば普通のカレーよりも食材にこだわったカレーや激辛のカレーが食べたいという心理になるのかもしれません。

これらのことからテイクアウトやデリバリーを行っている店舗様もちろんですが、

イートインのメニューにも上記データを参考にしてフードメニューを作ってみるのもよろしいかと思います。

 

本日、9月4日時点では9月12日以降の緊急事態宣言延長が確定するのかどうかは不明ですが

ワクチン接種の比率が進めば酒類の提供を解禁していこうという声も上がり始めているようですので年末商戦に向けて政府の施策に期待をしたいと思います。

また、繰り返しになりますが私達飲食事業者は協力金が無くなった平時の営業になった時の事を考えて動きを取らなければなりません。

改装工事やリニューアルの御相談も沢山頂いております。

年末に向けて内装業者の手配などが混み合ってくると思われますので補修、

改装などを希望される方は早目に御相談頂ければ余裕を持って対応することが可能です。

新しい時代に向かって商売の方法を少しずつ変えて行きながら頑張って行きましょう!