飲食店「消費税増税対策」は万全か? ~10月1日より消費税10%スタート~

いよいよ10月1日消費税10%へ

皆様は対策や準備はお済でしょうか?

「今回(の消費税増税)は、たかが2%だから、うちはそのまま(何も変えず)にしようと思います」と言っている方や「うちは税別(外税)だから関係ないよ」と言う方もいらっしゃると思います。

その答えちょっと待った! 冷静に考えると「人件費」以外の経費に関しても税率は10%になるので支払は2%上がるということになります。先程の応え、「ちゃんと10月以降の収支シュミレーションをしてみての判断ですか?」 「本当に何も変えないで大丈夫ですか?」 たかが2%が命取りにならないよう賢くしっかり計画しましょうね!

今回は、10月からの増税に伴う、飲食店の仕入れや経費に関わる注意点をご紹介します。

【仕入れ】スーパーなどでの購入時の注意点

◆「8%なのか?」、「10%なのか?」分かりにくい品物の線引き

今回の税率改定をさらに複雑にしているのは「軽減税率」と言う据え置きになる品目があるという事です。大きく分けると「食料品(酒を除く)」、「新聞(週2回以上の発行のもの)」これらの品目は8%の税率のままです。

皆様が仕入品としてスーパーなどで購入している肉や魚は8%の税率のままです。但しビールやハイボールなどは10%になります。

例えば「飲料」をあげると、「ビール」は10%課税ですが、「ノンアルコールビール」は8% 「ミネラルウォーター」は8%ですが 「水道水」は10%、「みりん」は調味料と言っても「アルコール1%以上」は酒類になり10%課税、「甘酒」はアルコール分1%未満なら8%課税 しかしアルコール1%以上なら10%課税です。 

比較的分かり易い表がありましたので下記を参考にしてみてください。

増税にまけない!家計術(宝島社)より

◆10月1日より購入時受け取り「領収書」は「内訳付き」かどうか注意する

この様に事業主として得する部分と複雑になるので返って面倒だというケースが生まれる為に帳簿管理や伝票の管理方法等には注意が必要になります。それは支払うべき消費税額の算出方法は「お客さんから貰った消費税―支払った消費税」と言う算式で算出されるからです。

※実際は、フード比率の高い店は8%で仕入れて、10%の消費税貰うので「価格のギャップ」が生まれます。

その「支払った消費税」がわかるように伝票(領収書)を全部10%と8%の科目に分けておかなければならないということになり日々の業務がかなり煩雑になります。

例えば今まで領収書のみで良かったものが、下の図のスーパーのレシートのように「8%対象商品」と「10%対象商品」を別々に表記したものが必要となります。

 

国税庁HP「適格請求書発行業者の義務等」より

上記のような①~⑤のように必要事項を記載してある請求書(レシート)もとっておく必要があります。

こういった複雑な税務処理を零細事業者に強いるのは難しいという事で年商が5000万円以下の小規模事業者は一定の条件を満たせば、ざっくり一律○○%と言うように仕分ける簡易課税制度というものがありますので詳細は税務署等で御確認をしてみてください。

【経営】国のお得な制度が利用できているか確認する

10月1日から消費税率が変わるだけでなく「キャッシュレス」を推進しようという事でスマホ決済(ペイペイやラインペイなど)やID、エディ、パスモ等の電子決済、クレジットカードで支払った金額の5%分が「ポイント還元」されるというのも大きなニュースです。

例えば皆様の店で5000円分の飲食をしてカードで支払ったとします。そうすると5%分のポイントがカードを使って決済したお客さんにポイント還元されるという事です。

これって何気に大きくないですか?

皆で会食して20,000円使ったら1000円分のポイント還元ですよ?

◆期間限定の国の支援制度を活用しよう!

皆様はもう準備されましたか?キャッシュレス化に伴い、期間限定2019年10月1日~2020年6月末までの9か月間実施される飲食店のような中小・小規模事業者向けの支援制度があります。対象のお店は以下の①~③の支援を国から受けられます。

https://cashless.go.jp/

経産産業省HPより https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_leaf.pdf

 

①決済手数料の補助(飲食店側にお得):クレジットカード等の手数料が実質2.17%以下に!※クレジットカードの比率の多い店舗様には大きなメリットがありますね!

②端末補助(飲食店側にお得):決済端末負担ゼロ

キャッシュレスで支払った消費者へポイント還元(お客様側にお得):例えば、実施期間中登録加盟店でお客様がいつも通りカードを使用しただけで、カード決済月に5%差し引かれるというものです。(※カード会社によって多少異なりますので、現在利用中の決済事業者へ各店舗ご確認ください)

主な決済事業者例がありましたので下記を参考にしてください。

経産産業省HPより 「キャッシュレス・ポイント還元事業」

◆キャッシュレス・ポイント還元事業での「2つの留意点」

ここで注意しなければならない点が2つあります。

【Ⅰ】5%還元されるのは皆様のように個人若しくは小規模法人が経営している店舗に限るという事。チェーン店やコンビ二は2%還元です。

【Ⅱ】期間が2019年10月1日から2020年6月末までの9か月間であること。

実行するにはお店側からの加盟店登録が必要です。※申請受付けは10月1日以降も可能(2020年4月末まで)

さて、この2点に注意が必要なのですが明らかに国はクレジットカードやスマホ決済などの比率を上げようと必死になっていますよね?

日本は現金決済の比率が先進国の中で異常に高いんです。でも現金決済が多いというのは脱税も多くなってしまうんですね。だから国は今回、一気にカードもしくはスマホ決済を広めて個人店の課税対して引締めようと動いていると思われます。

またこの還元制度はカードを使って飲食をしたお客さん(消費者)が得をする仕組みですよね?

つまりカードやキャッシュレスシステム未導入の飲食店に客側から圧力をかけて「え?カード使えないの?」って言わせて導入比率を上げようというのが明らかに分かります。

消費者が来店前に「5%還元の加盟店」かどうか見分けるのは、このシールを貼ってるかどうか?です。

経産産業省HPより

 

登録が完了し加盟店になるとこのシールがもらえます。

2019年9月27日現在、国側の対応が間に合っておらず「申請していても、まだ何と届いていない」と言う店舗も多い状況です。

しかしながら、徐々に10月1日以降は目にするようになると思います。

対応をまだお考えになっていない店舗様は、この機会にお考えになるのも良いかと思います。